県立高校の訪問記である。今年に入って2校目だ。
来週もまた,県立高校の塾対象説明会がある。
予定があって行けなかった学校も数校あるが,今年度の前半は以前と比べたら塾説を開いてくださる県立高校が急増した印象だ。
とても有難い。
(*´-`) .。oO(相変わらずの上からな物言い,すみません。

今日訪れたのは,埼玉県立岩槻高等学校だ。
場所は何となく知っていたが,前回の杉戸高校の失敗を活かし,今回は事前にちゃんと経路を調べた。
偉そうに言うことではないか。w

埼玉県立岩槻高校は東武アーバンパークライン(野田線ね)の岩槻駅東口にあり,駅前の通りをまーーーっすぐ,徒歩20分のところにある。
岩槻高校のホームページの『アクセス』のところを見ると大きく『徒歩20分』とあるが,その数字,おそらくほとんどの方が「遠いな。」と感じることだろう。
でも,県立高校としては,平均値よりちょっと遠いくらいだと思う。
スクリーンショット (596)
あんまり大々的に書くことではないのかもだけど,正直さの表れということで。w

因みに,岩槻高校の『アクセス』のページだが,『学校紹介』というタブと『中学生の方へ』というタブの2ヶ所にある。
何でなのかは不明。
今,紹介したのは『中学生の方へ』の方の『アクセス』だ。

他の行き方としては,岩槻駅東口から国際興業バスまたは東武バスに乗り岩槻高校前で下車,そこから徒歩というのもある。
こちらだと10分くらいか。
ウチの最寄り駅からだと越谷駅西口から東武バス(岩槻駅行き)に乗るという方法もあるが,うーん,岩槻駅経由の方が早いかもしれない。

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正門付近の様子。with 梅野先生。
(*´-`) .。oO(先日はウチのブログを先生のブログで取り上げていただきありがとうございました!

実は,ココのところの岩槻高校の動向には密かに注目していた。
そのため今日の塾説を本当に楽しみにしていた。


県立高校は中身が見えない。岩槻高校だって例外じゃない。
例えば,岩槻高校には国際文化科という学科がある。
外国語科ではない。国際文化科だ。
でも,実際に何を勉強する学科なのか,良く分からない。
(不勉強ですみません。)

そこが問題の一つだと関根校長は仰っていた。
中身が見えてこなければ,選択肢にも挙がらない。
選択肢に挙がらなければ,当然,生徒は集まらない。
生徒が集まらなければ,全員入れてしまうので,偏差値は下がる。
負のスパイラルだ。
だから,ありのままの岩槻高校を広く知ってもらう必要がある。
関根校長も
「綺麗事ではなく現状を伝えることが大切だ。」
と仰っていた。
学校の良さや取り組み,生徒たちの普段の姿,教員の皆さんの熱意。
そういったものを伝える手段がホームページにある『今日の岩高』であったり,今回の塾説だ。
『今日の岩高』はぜひ見ていただきたい。
何気ない学校の様子を動画や画像で毎日発信している。
県立高校でここまでの情報発信力は,なかなか類を見ない。

岩槻高校の偏差値は47。
『真ん中』よりちょびっと下,な学校だ。
だから,『真ん中』付近の生徒が多く集まる
中高連携委員会の先生は,
「真ん中くらいの生徒は自信がない。」
と仰っていた。
良くもなく悪くもない。手がかからない。
「穏やかな生徒,大人しい生徒が多い。」
と,関根校長も仰っていた。
そういう生徒は,語弊があるかもしれないが,クラスの中で学年の中で注目されにくい。
だから,自信がなくなるのだろう。
自信がないから,
「高みを目指さない。欲がない。それが大学進学実績に良くない影響を与えている。」
と,関根校長。
そんな自信のない生徒たちに,3年間で自信を持たせる。
それが岩槻高校の使命だ。

先日の杉戸高校にも似ていると思ったら,おおよその偏差値帯は同じくらいだった。
でも杉戸高校よりも進学実績は良くない。
そのデータは今日の塾説の資料として,関根校長も提示してくださった。
実績を上げるために,3年間で確実に学力を身につけさせるような,進路指導や補習,環境作りなど,学校全体としての取り組みを行っているそうだ。

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卒業生からのメッセージが昇降口に掲示されていた。これも環境作り。

特に進路指導。
「生徒一人一人のやりたいことを実現させるための妥協しない進路指導をしている。」
と中高連携委員会の先生。
名前の知れた所謂『良い大学』を薦めるわけではなく,自分のやりたいことが実現させられると思う大学へ。
指定校推薦がダメでもそこで諦めず,公募推薦や一般入試へとチャレンジできるように。
学力ももちろんだが,そういう『精神的な強さ』みたいなものを育てていく。
その結果が徐々にだが出始めていて,派手な大学名こそ少ないが,4年制大学への進学が約6割,短大も含めると約7~8割の生徒が大学へ進学している。
入学した当初は大学への進学は諦めているような生徒が,岩槻高校で高校生活を送ることで大学の進学を希望するようになり,実際に進学する。
英検準一級に合格する生徒も,毎年数名だが,いる。
失礼ながらも申し上げるなら,偏差値帯を考えればこれはすごい伸びだ。


生徒がより良い未来を自分自身で考え,選択できるように。
生徒の学力も精神も,確実に変えてくれる学校なのだと感じた。
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校舎は新しいとは言えないが,手入れは行き届いていてきれいだった。

令和8年度からは,県立岩槻北陵校と合併し,岩槻新校(仮称)となる。
それまでに学力の底上げを図る。
「バリバリの進学校にしたいわけではない。岩高の良さは残したい。」
関根校長はそう仰った。
岩槻新校(仮称)の開校に向けて,若い先生方を中心に学校が一丸となって改革を進めている。
関根校長は,校長がすべきこと(=校長にしかできないこと)と先生方に任せられることを冷静に見極め,「新校を成功させたい」という思いのもと,的確に動き動かしていらっしゃる。
だから先生方が同じ方向を向いているのだ。
関根校長は『人使い』に長けていると感じた。
穏やかな話し方の先生だが,時折見え隠れする熱さがあった。

中でも特に熱を帯びていた(と感じた)のは,
「塾の先生方にはぜひ,岩槻新校(仮称)を見届けて欲しい。」
という言葉だった。
関根校長が定年を迎えられる春に,岩槻新校が始まるそうだ。
だから,
「より良い形で次の校長に引き継ぎたい。」
と。
新校の始まりを間近でご覧になりたいだろう。
それでも華やかなところは後進に託し,身を引かれる。
言い方は古臭いが,最後のご奉公と言ったところだろうか。
男気だなあ。
(なんだそれ,と思うかもしれないが,メモに書いてあるんだから仕方ない。)


いろいろなデータから分析されたこと,現在の取り組み,そしてこれからの課題。
今日のお話の端々に,関根憲夫校長と先生方の冷静と情熱のあいだにある,静かで並々ならぬ決意を感じた。
これからが楽しみな学校だと思う。


いやあ,マスクをして行って良かった。
関根校長をはじめ先生方のお話をうかがいながら,何だか妙にワクワクしっぱなしで,ニヤニヤが止まらなかった。
不審者過ぎる。w

お忙しい中たくさんのお話を聞かせていただき,貴重な機会を本当にありがとうございました。

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廊下の自習スペース。テスト期間なのも相俟って,活気があった。
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バリアフリーのトイレがあるのも良いですね。


関根校長のお写真を,と思っていたのにすっかり失念した。
そういえば,「関根校長」と言うとき何だか妙にムズムズする。
大変お世話になっている,他の関根校長(元,ではあるが)を存じているからだ。
開智未来の教育顧問,関根均先生だ。
何を隠そう(いや隠してないだろうけど),関根憲夫校長は関根均先生の弟さんだそうだ。
(一番上のお兄様は元教育長の関根郁夫先生。)

なるほど。
動と静の違いはあれど,憲夫先生の熱さは均先生の熱さに負けず劣らずだ。
何方が動で静なのかは,ご想像にお任せします。

追記。

関根校長に
「岩槻高校はお好きですか?」
と質問をさせていただいた。
大変不躾で子供じみた,失礼な質問だった。
申し訳ありません。
言い訳をするなら,お話から岩槻高校への愛が感じられ,それが熱に繋がっているのかなと思った故の質問でした。

でも,今にして思えば,岩槻高校が好きというよりは生徒たちが,一緒に働く先生方が,そして学校がお好きなのだ。
つまり,『教員』というお仕事がお好きなんだろう。(と,勝手に納得した。)
『教員』というお仕事に誇りを持っていらっしゃるから,熱意に溢れていらっしゃるのだろうと思う。