2024年06月

異質な本質。~県立浦和高校を訪ねて(土曜公開授業)~

正直なところ,教室に戻って数時間が立つが,脳内で今日のことが処理しきれていない。
そのくらい情報量が多く,刺激的で,かつ楽しい出来事だった。

6月22日に開催された,県立浦和高等学校の土曜公開授業+ミニ説明会へうかがった。
本来は,生徒保護者向けのイベントだが塾の先生も参加できるとのことだったのと,教育ジャーナリストの梅野弘之先生(浦高卒業生)に「浦高の授業は一度見ておくといいぞ。」とすすめていただいていたため,ちょうど時間も作れたので,うかがった次第。
見学後,興奮のあまり土曜日なのに梅野先生に電話までかけてしまった。w
そのくらい,楽しかった。(陳腐な感想ですみません。)

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授業は進み方が早い。生徒さんたちは当然のようにその授業に食らいついている。
ゴリゴリと板書している先生も少なかった。最小限の板書で解説や発問をする。
とにかくテンポが良い。
発問も,当てられた生徒だけが考えているのではなく,隣同士の生徒がこそこそっと答えを言い合ったり,分からない生徒が近くの生徒に質問していたり。
そんな光景が教室のあちこちで見られる。
先生が投げた質問に誤答した生徒に対して,別の生徒が正しい答えと「△△だから○○なんだよ。」と解説までしていたり。

特にすごいなと思ったのは,授業に向かうときのメリハリだ。
先生が授業に入るのに,前説をしないのだ。
「いやぁ,先生昨日さぁ…」とか「この間,電車に乗ってたらな…」みたいな部分がない。
何なら,「今日どこからだっけ?」みたいなのもなかった。
授業時間前に先生は教室に来ていて,チャイム・号令が済むと,スッと授業に入っていく。
だからと言っておとなしいだけの授業ではない。
先に挙げたような光景も見られたし,ワッと盛り上がって笑い声が上がることもある。
何なら,その笑い声はむしろうるさいくらいだ。w
だが,それが後を引かない。
普通の感覚なら,そのあと少し盛り上がらせておいてから「さ,授業戻るぞ。」となるところだが,そんなのもない。
これまた当然のように,そのまま授業に戻っていく。

ONのときの集中力というか真剣さがものすごい。
授業に熱量は当然だが,緊張感があった。
私が見た授業がそうだっただけなのかもしれないが,いくつかの授業でそうだったんだからそういう授業が多いのだろうと思う。


休み時間の光景にも驚いた。
体育戻りの生徒が,上半身裸でうろついているのだ。w
それも,一人二人じゃない。
なかなかの人数が上裸だった。w
休み時間の廊下もかなり騒がしい。ギャーギャーしている。
おいおい,さっきの授業は何だったんだ?と思うくらいには騒がしい。

え?今日,公開授業だよね?
どういう学校なの,ここ。w
今までに見たことないような学校なのは確かだ。


生徒さんたちの様子を見ていて分かった。
彼らにとって,公開日だろうが何だろうが,ただの日常なのだ。
誰が廊下をうろついていようが,授業を覗いてこようが,そんなことは彼らにとって関係ない。
そこには,いつもの土曜日のいつもの時間が流れているだけなのだと思った。
我々見学者は,見えていないのだ。w
そういえば,廊下で生徒さんたちとすれ違っても「こんにちは。」とか声かけられなかったな。
たまに霊感の強い生徒さんが「ンちは。」と,ごく短く声をかけてくれたが。
…キミ,私が見えるのか!?という気持ちになった。

どこの学校に行っても「ふむ,生徒さんたちはちゃんと挨拶してくれるかな?」などと上段に構えているが,浦高はそんな次元にはいない。そんなことはどうだっていいのだ,きっと。
なるほど。
浦高生は「フツー」の感覚じゃないのだ。

面白いなあ。


失礼ながら,先生方も,もしかしたらフツーじゃないのかもしれない。
ミニ説明会の際に山盛教頭がお話しされていたが,学校行事であるサッカー大会やラグビー大会,綱引き大会など,先生方も教員チームを作って参加されるそうで,ラグビーや綱引きは教員チームが優勝の常連だそうだ。
…ん?ww
先生方,本気じゃん。w
本気と書いてマジと読むっていうやつじゃん。
ラグビーや綱引きに関しては「(教員チームが優勝する理由として)体重の差もあると思います。」と山盛教頭。
いやいや,そういうことじゃなくて。w

面白すぎる。


生徒さんたちも先生方も本気でぶつかり合っているのだ。運動にしろ,勉強にしろ。
先生方が本気で来るから行事にも手を抜かない。
生徒さんたちが本気で向き合っているから先生方も本気でそれに応え,授業に緊張感が生まれる。
日々が真剣勝負なんだろう。

真剣勝負でぶつかり合うから,そこに本当に強い信頼関係が出来上がるのだろう。


そういえば。
山盛教頭の説明会での語り口に,他の学校の説明会にはない,なんだか妙な感じがした。
雨天だった体育祭(雨天決行の法則というのがあるそうで雨天の中実施された)で,どろどろの校庭で準備運動として腹筋をしていた話。
新入生歓迎マラソン大会のどこが新入生歓迎なんだという話。などなど。
そんなお話をされている山盛先生の口調の端々に
「やれやれ。まったくこの子たちは。」
みたいな,『あきれ』ではない,どこか優しい雰囲気を感じた。

と書いてて,今ふと気が付いたのだが。
もしかしたらそれって,「お母さん」的な感覚なんじゃないだろうか。(山盛先生は女性です。)
先生方が年の離れた兄姉だったり,父母だったり,おじいちゃんおばあちゃんだったり。
先生方が先生然としていなくて,生徒さんたちが好き勝手やっている(ホント,好き勝手やってる感じがしたw)のを,後ろから見守っているような感じ。
強い信頼関係が,もしかしたらそういう関係性を作っているんだろう。

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見学させていただいて,本当に良かった。
こんなに面白い学校だとは思わなかった。

確かに学校としては異質なのかもしれない。
だけど,それが学校の本質なんじゃないだろうか。

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(*´-`) .。oO(共学にもしなったとしたらこの異質さは失われてしまうんじゃ?
(*´-`) .。oO(それならこのままで良いんじゃなかろうか。という独り言。

撫子の凛々しさ。~県立久喜高校を訪ねて~

6/13に実施された埼玉県立久喜高等学校のジュクセツにうかがった。
埼玉県立久喜高等学校は,JR宇都宮線・東武伊勢崎線久喜駅西口から徒歩15分程度のところにある女子高だ。
昨今,世間を賑わせている男女別学の,106年もの伝統を持つ県立高校である。
もともとは久喜町外15ヶ町村学校組合立久喜実科高等女学校として開校した。
「組合立」!初めて聞いた。w
公務員ランナーとして名を馳せた川内優輝選手の勤務先(事務職員)だったことでも有名だ。
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さて。
かつてのウチの塾生さんの話。
中3の夏休み前の三者面談で
「アタシ,○んでも女子高だけは嫌だ。女子高行くくらいなら中卒で良い。」
と言っていた生徒さんがいた。
秋口に友達に無理やり連れられ,某女子高(ごめん。久喜ではないです。)の文化祭に行った。
帰り道,
「ごめん,アタシ塾に寄って行くから。」
と友達と別れ,教室に顔を出した。
私の顔を見るなり,開口一番,
「アタシ,○○女子に行くわ。」
と,言った。
「行こうかな」でも「行きたい」でもなく,「行く」と断言した。
その段階で偏差値は届いていなかったが最後まで努力し,有言実行して見せてくれた。
とっくに社会人になっているが,今もたまに連絡をくれて,高校時代の友人たちと旅行に行った話を聞かせてくれる。
そこまで極端なことを言っていた生徒さんはその子だけだが,女子高を嫌がっている生徒さんほど女子高に進学するから面白い。w
そういう生徒さんが何人もいた。


久喜高校のジュクセツで,とある先生(男性)がこんなことを仰った。
「女子しかいない環境だからこそみんなで『共感』できることがあるんです。前髪が決まると,その日一日幸せ,とか。みんなでお菓子を食べながら「あー,痩せたい!」とか。私には,昨日と変わってないように見えるし,痩せたいならその手を止めれば?と思うことなんだけど,みんなで「わかるー!」って盛り上がっている。」
女子しかいない環境だからこそ曝け出せる感情があるし,ひいては自分自身を曝け出すことができる。
久喜高校への訪問で,かつての塾生さんたちが女子高に惹かれた理由が少し分かった気がする。

校内はちょっと古臭いが,それでもとても大切に使われており,明るく清潔感がある。
プロジェクターはもちろん,全教室に電子黒板が導入されている。
写真には撮り忘れたが,教室の柱や壁に鏡が掛けられているのは,何とも女子高っぽい。

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なんだかドアが低い気がする。モデルは埜口義塾の赤井先生。身長198cm。うそ。
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電子黒板だが,埼玉県が導入しているクラウドファンディングっぽい仕組みの「埼玉県教育環境整備基金」で資金を募った。
そうしたところ,OGの方から多額の寄付があり,全額,資金調達ができたそうだ。
また,体育祭では昭和の時代から続く『旗体操』という演目を高1が披露するが,見学にいらっしゃった御年92歳のOGの方が踊っていらっしゃったとか。
伝統校の繋がりや絆の強さ,深さを感じる。
創立数十年の学校にはなかなか真似できないかもしれない。

進路についてはまだまだ発展途上,「もっとイケるだろ,久喜高」と思うが,それでも,4年制大学・短期大学合わせて67.7%の生徒が進学していて,医療系の専門学校への進学者も多い。
進学先の学校名に派手さはないが,堅実に確実に進学実績を伸ばしてきている。
女子高というと,医療系や保育系の進学が多いイメージだが,理学系や理工学系へ進学する生徒さんも増えてきているそうだ。
今後の進学実績の伸びが楽しみだ。


説明会後,募集担当の掛田教諭にこんな質問をぶつけてみた。
「久喜高校の売りは何ですか?」
間を置かず,力強くお答えいただいた。
「生徒です。」

廊下ですれ違う生徒さんたちの殆どが,足をピッと止め,
「こんにちは!」
と頭を下げて挨拶をしてくれる。
急いでいる生徒さん(ちょうど歯科検診の日だったのよ。w)も,足は止めないにしてもちゃんと挨拶をしてくれる。
こちらまで,気持ちがシャンとした。
挨拶をしてくれる生徒さんがいる学校は多いが,足を止めて尚且つ頭まで下げてくれる生徒さんがこんなにいる学校は少ない。

久喜高校は『不易流行』を大切にしている。特に,不易=伝統の「なでしこの心」。
久喜高校の校章のモチーフとなっている「なでしこ」は淡いピンク色を帯びた優しい花だが生命力の強さを持ち合わせている。
優しい色合いで凛々しく咲くなでしこの,「思いやりや優しさ」と「何事にも挫けない生命力の強さ」を生徒さんたちから感じることができた。

素敵な生徒さんたちだったなあ。
確かに「売りは生徒」さんたちですね。

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(*´-`) .。oO(図書室のラインナップも面白い。赤井先生見切れてますけど気にしないで。w
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(*´-`) .。oO(細かいところに女子感がある。って言うと,どこかの団体から怒られるのか?w
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(*´-`) .。oO(顔が良い本,っていうのは新しい視点だった。司書さんもとても気さくな方でした。



そういえば最初に書いた,かつてのウチの生徒さんが高校生のときに面白いことを言っていた。
「女子ってね,男子がいないと案外ドロドロしないんだよ。w」

…なるほど。w

変わっているから面白い。~県立越谷北高校を訪ねて~

6/12に実施された埼玉県立越谷北高等学校のジュクセツにうかがった。

越谷北高校,親しみを込めて越北と呼ばせていただくが,越北は東武スカイツリーラインせんげん台駅東口から徒歩で約20分のところにある,普通科と理数科を有する県立高校だ。
公立私立併せて,ウチからは最も近い高校だ。

昨年うかがった際には,主に理数科の説明と理数科の生徒さんの様子(放課後の)を見学させていただいた。
⇒昨年の記事はこちら。
今年は,普通科も含めてお話をうかがえて,授業見学をすることもできた。
(*´-`) .。oO(とても勉強になりました。ありがとうございました!

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さて。
越北の2024年度(この春)の進学実績には,正直,驚かされた。
埼玉大,筑波大,千葉大が国公立の合格者数TOP3なのだが,合わせて55名の合格者(=進学者)となっている。
2023年度が15名,2022年度が31名となっているので,かなりの躍進だ。
進路指導主事の内田浩光先生によると,
「『越北に入ることがゴールではなくスタート』『高い目標・高い志を持つ』ということを徹底し,日々の学習に取り組んできた成果ではないか。」
とのことだった。
逆に言えば,日々,学習に取り組める環境があるということ。
確かに,授業見学をした際にも授業のレベルの高さを感じることができたし,校内の掲示物一つとってみても知性を感じることができた。
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知性の溢れ出る掲示物①。
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知性の溢れd(略)②。台湾の高校との交流で贈られたアチラの言語の周期表。
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校舎の外観は年季が入ってるけど,中は明るくて気持ちが良い。

越北の生徒さんたちは「変わり者」が多い。もちろん良い意味で。
いやいや。
昨年は片野校長(当時)が,今年は桑原三季教頭がそう仰るんだから間違いない。
知的好奇心が旺盛である,と言い換えてもいいかもしれない。

理数科主任の中川大樹先生は
「中学時代,理数系,特に数学が好きだ・得意だというと変なやつだと思われる。」
と仰っていたが,ソレ,とてもよく分かります。w
(※当方,数学科出身。数学は苦手だったけど好きだった。w)
勉強が好き(≒知的好奇心が旺盛)なコたちの立場が向上するのは受験期になってからで,それまではスポーツができるコたちの方が持て囃される。モテる。w
周りの目が気になるオトシゴロの中学生にとっては,自分が『変わり者』だと思われたくない。
なので,どうしても自分を抑え,「息苦しい」日々を過ごすことになる。
それも個性なのにね。

だが,越北では「変わり者」が排除されない。学校が「変わり者」を応援してくれる。
「変わり者」で居られる土壌がある。
中川先生によれば
「特に理数科は尖がったところのある生徒が多い。」
とのことだ。
うんうん。よく分かる。w
昨年の説明会のときの理数科の生徒さんたちも,ある意味,尖っていた。
でも,それを許容してくれる懐の深さが,越北にはあるのだ。


校内で,このあたりにいるはずのないカメムシ(ヤエヤマアカナガカメムシ)を見つけた生徒さんがいた。
そのことを先生に相談すると,専門家の先生に問い合わせてくれた。
「カメムシ?そんなモンいいから,勉強しろ。」とはならない。
で,いろいろあって,今度その生徒さんの発見が,皆さんおなじみの,あの『月刊むし』(むし社)に掲載されるそうです。
ほらね,めっちゃ尖ってる。w


「理数系が苦手だから,勉強したくて理数科に入りたいんです。」
という受験生がたまにいるそうだが,
「そういう生徒に理数科は大変だと思う。」
と中川先生も仰っていた。
越北を希望している中学生の皆さんに一言伝えておくとしたら。
どうか,ちゃんと学校の本質を見極めてから越北を希望して欲しい。
生半可な思いで越北に入ったとしたら,きっと苦労する。

…あれ?二の足を踏ませてしまうかも?
営業妨害か?w


授業見学後に,学食で食事をした。
(予約して,400円で購入した。利益供与ではない。)
スパイスの効いたカレーでおいしかった。
大盛無料だそうです。
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根岸先生が食べてた唐揚げ丼もおいしそうだったし,どれも食べたかった。w

食後に新聞部の部員さんから取材を受けた。
「越北の授業見学をしてどう思ったか。」
「学校見学の際に何に注目しているか。」
など,いくつかの質問に答えたのだけれど,いやあ。ww

頭の良い子だったなあ!
物怖じしないし,受け答えもちゃんとしているし,何より溌溂としている。
昨年のブログにも書いたけれど,越北の生徒さん達って溌溂としてるんだよな。
⇒昨年の記事はこちら。
大変貴重な体験でした。
どうもありがとう。

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写真左は教育ジャーナリスト梅野弘之先生。


変わり者の多い越北。
書いてて気がついたのだが,きっと変わってる先生方も多いのだろう。
学校も変わってるんだと思う。

でもね。
変わっているから魅力的で,変わっているから面白い。
越北に行くたびに発見がある。
やっぱりワクワクが止まらない学校だ。


6/22午前には公開授業とミニ説明会,8/22には《コシキタ進学フェア》が開催される予定。
越北でやっていけるかなとか心配して悩んでいるなら,実際に行って話を聞いてみるといいと思う。


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食堂のこういうネーミングにもセンスを感じる。
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おマヨ様。www

(*´-`) .。oO(この学校の面白さが分からないようじゃあ,まだまだ変わり者とは言えないな。w
プロフィール

教学館

埼玉県越谷市北部にある学習・進学塾【教学館】のブログです。
日々の出来事からお知らせまで,徒然なるままに書き連ねて行きます。
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