6/13に実施された埼玉県立久喜高等学校のジュクセツにうかがった。
埼玉県立久喜高等学校は,JR宇都宮線・東武伊勢崎線久喜駅西口から徒歩15分程度のところにある女子高だ。
昨今,世間を賑わせている男女別学の,106年もの伝統を持つ県立高校である。
もともとは久喜町外15ヶ町村学校組合立久喜実科高等女学校として開校した。
「組合立」!初めて聞いた。w
公務員ランナーとして名を馳せた川内優輝選手の勤務先(事務職員)だったことでも有名だ。
さて。
かつてのウチの塾生さんの話。
中3の夏休み前の三者面談で
「アタシ,○んでも女子高だけは嫌だ。女子高行くくらいなら中卒で良い。」
と言っていた生徒さんがいた。
秋口に友達に無理やり連れられ,某女子高(ごめん。久喜ではないです。)の文化祭に行った。
帰り道,
「ごめん,アタシ塾に寄って行くから。」
と友達と別れ,教室に顔を出した。
私の顔を見るなり,開口一番,
「アタシ,○○女子に行くわ。」
と,言った。
「行こうかな」でも「行きたい」でもなく,「行く」と断言した。
その段階で偏差値は届いていなかったが最後まで努力し,有言実行して見せてくれた。
とっくに社会人になっているが,今もたまに連絡をくれて,高校時代の友人たちと旅行に行った話を聞かせてくれる。
そこまで極端なことを言っていた生徒さんはその子だけだが,女子高を嫌がっている生徒さんほど女子高に進学するから面白い。w
そういう生徒さんが何人もいた。
久喜高校のジュクセツで,とある先生(男性)がこんなことを仰った。
「女子しかいない環境だからこそみんなで『共感』できることがあるんです。前髪が決まると,その日一日幸せ,とか。みんなでお菓子を食べながら「あー,痩せたい!」とか。私には,昨日と変わってないように見えるし,痩せたいならその手を止めれば?と思うことなんだけど,みんなで「わかるー!」って盛り上がっている。」
女子しかいない環境だからこそ曝け出せる感情があるし,ひいては自分自身を曝け出すことができる。
久喜高校への訪問で,かつての塾生さんたちが女子高に惹かれた理由が少し分かった気がする。
校内はちょっと古臭いが,それでもとても大切に使われており,明るく清潔感がある。
プロジェクターはもちろん,全教室に電子黒板が導入されている。
写真には撮り忘れたが,教室の柱や壁に鏡が掛けられているのは,何とも女子高っぽい。
電子黒板だが,埼玉県が導入しているクラウドファンディングっぽい仕組みの「埼玉県教育環境整備基金」で資金を募った。
そうしたところ,OGの方から多額の寄付があり,全額,資金調達ができたそうだ。
また,体育祭では昭和の時代から続く『旗体操』という演目を高1が披露するが,見学にいらっしゃった御年92歳のOGの方が踊っていらっしゃったとか。
伝統校の繋がりや絆の強さ,深さを感じる。
創立数十年の学校にはなかなか真似できないかもしれない。
進路についてはまだまだ発展途上,「もっとイケるだろ,久喜高」と思うが,それでも,4年制大学・短期大学合わせて67.7%の生徒が進学していて,医療系の専門学校への進学者も多い。
進学先の学校名に派手さはないが,堅実に確実に進学実績を伸ばしてきている。
女子高というと,医療系や保育系の進学が多いイメージだが,理学系や理工学系へ進学する生徒さんも増えてきているそうだ。
今後の進学実績の伸びが楽しみだ。
説明会後,募集担当の掛田教諭にこんな質問をぶつけてみた。
「久喜高校の売りは何ですか?」
間を置かず,力強くお答えいただいた。
「生徒です。」
廊下ですれ違う生徒さんたちの殆どが,足をピッと止め,
「こんにちは!」
と頭を下げて挨拶をしてくれる。
急いでいる生徒さん(ちょうど歯科検診の日だったのよ。w)も,足は止めないにしてもちゃんと挨拶をしてくれる。
こちらまで,気持ちがシャンとした。
挨拶をしてくれる生徒さんがいる学校は多いが,足を止めて尚且つ頭まで下げてくれる生徒さんがこんなにいる学校は少ない。
久喜高校は『不易流行』を大切にしている。特に,不易=伝統の「なでしこの心」。
久喜高校の校章のモチーフとなっている「なでしこ」は淡いピンク色を帯びた優しい花だが生命力の強さを持ち合わせている。
優しい色合いで凛々しく咲くなでしこの,「思いやりや優しさ」と「何事にも挫けない生命力の強さ」を生徒さんたちから感じることができた。
素敵な生徒さんたちだったなあ。
確かに「売りは生徒」さんたちですね。
(*´-`) .。oO(顔が良い本,っていうのは新しい視点だった。司書さんもとても気さくな方でした。
そういえば最初に書いた,かつてのウチの生徒さんが高校生のときに面白いことを言っていた。
「女子ってね,男子がいないと案外ドロドロしないんだよ。w」
…なるほど。w